かわったものにきょうみをもちます



 彼の興味の対象は変わっている。
 そういう認識があったからこそ、その言葉は凄く心外だった。

 時々、彼の瞳が輝いているのを見かけることがある。そういう時は大抵、発作を起こしていて、周りなどほとんど見えていない状況。だから、彼の周囲にいる人への扱いは普段よりも粗雑になる。そういう時、あたしはインパクトが高い遺体絡みの事件を思い出して、もうあんなことだけはごめんだと辟易する。
 そう言うと、目の前にいたシャルルの仕事仲間である彼はおかしそうに笑った。
「これで彼の十年後も決まったね」
「どういうこと?」
「シャルルはずっと変わらないだろうってことさ!」
「――言えてるっ!!」
 彼の言うことが至言のような気がして、思わず吹き出してしまったけれど、ああホントに、シャルルはこの先何十年経とうとも、ずっと変わらずにシャルルでいる気がする。
「楽しそうだけれど、邪魔するよ。休憩時間なんでね」
 そう言って入って来たのは、シャルルだった。彼は相変わらず物憂げな表情をしていていつもと変わらないはずなのに、今はそれが何故か可笑しくて、あたしは失礼にも彼の顔を見た途端、また笑い出してしまった。すると、シャルルは眉根に美しいシワを作り、対向して行き過ぎる際には、綺麗なその眼を細めて冷たい一瞥をくれたのである。
 うっうっ、悪かったわよ、そんなに怒らないでよぉ。
「わかったらもう二度とやるなよ」
「はーい…」
 それであたしがシュンとしていると、それまで黙って見ていた彼がクスクス笑い出し、
「シャルルは本当に君に興味があるんだね」
 ウインクひとつあたしに投げてよこして、彼はハミングしながら休憩室を出て行った。


 ――ん? ちょっと、それ、一体どういう意味なのよ――っ!?!?





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